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4月のつぶやき 2
 何気ない風景のひとつかもしれないが、卓球・バドミントンコミュニティに参加されている皆さんをぼんやりと眺めていると、色々な人間模様が目に入ってくる。
 卓球エリアには、昨年の暮辺りから中学生の参加が目立つようになってきた。
 目立つというより、今やクラブの主力と言っても良いくらい、スタート時間一番乗りを皮切りに10名強のメンバーが続々とやってきて、荷物を置くや否や直ぐに準備を済ませ黙々と練習を始め出す。終了時間ギリギリまで、2時間半休みなしに打ち続ける子もいる。練習が終ると、卓球台の片付けや床の清掃など率先して行って、管理者が鍵の締め忘れなどをチェックし終わる頃帰っていく。体育館へ集まってくる時は、今時の子どもらしく受付へボーっと来ては、既定の参加料を支払っていく。この間、管理者や大人連中から「こんばんわ」と声を掛けられても、蚊の鳴く様な声でボソッと応答するだけ。全く覇気がなく見えるが、プレイを始めると力がみなぎって輝いて見える。他人から見ると、ヤル気が無さそうでイヤイヤ来ている様に見えるのだが、彼等にしてみると卓球をやりたくてしょうがなくやって来るのだ。その証拠に、ここ2・3回活動日の昼間、彼等のリーダー的メンバーから事務局の電話へ当日やるかどうか必ず確認の連絡が掛かってくる。
 そう彼らにとっては、地域クラブのエリアが大切な月3回の外部練習日であるし、正しく彼等にとってのコミュニティなのだ。彼等が参加し始めたきっかけは、ある一組の親子がたまたまマクドナルドでクラブのパンフレットに目を止め、我々に問い合わせをしてくれたのが発端だった。当初は息子だけプレイをして、親父さんは見学しているという日が5回ほど続いたが、ある日親子で一緒に参加という事になり、その2回後には息子と同学年の友達が10人以上参加してきた。おそらく、その息子が同級生達に宣伝をして誘い合ったのだろう。
 以来、彼等は卓球エリアの主力メンバーとして、他の大人の上級者と交わったり、小学生の参加者の相手をしたりと、自らが楽しめる事を活用して充実した時間を送っているのだろう。彼等の年代からすると、言葉や態度などは今後いくらでも直す事は出来ると思うが、何かに集中したり夢中になって没頭するという環境は、なかなか自らが見出す事は出来ないのだろう。そういった意味で、地域クラブの環境が彼らにとって大切な場所である事は、彼等の行動を見ていると良く判るし、若い彼等にとってのモチベーションが地域クラブにはあるという事なのだろう。この単純なきっかけ作りに、この地域活動の原点がある様に感じる。
 人のつながり、自然に出来上がる「和」こそコミュニティの基本であると思える一例だった。
 バドミントンのエリアにも同じ様な光景が見られる。何組かの親子がここにも参加しているが、その子ども達は高校1年を筆頭に小学1年生まで14・5人が集まってきている。見知らぬ子ども達が仲良くなるには時間は必要ないらしい。ものの10分もすると、体育館内を走り回ったり、誘い合ってバドミントンの練習をしたりで、以前からの友人同士のように遊びまわっている。大人の目で安全面を考えると、とても危なっかしくて怒鳴りたくなるのだが、子供同士の不文律というかいつの間にか年上がリーダーとなって一つのサークルを形成している。2時間半の活動が終る頃には、「次は来るの?」とか「次は一緒に組んでゲームやろう」とか、何気ない友達同士の会話になっている。子どもの世界、子どもの心の受け入れの広さは、大人が驚かされるほど社交的で純粋なんだな、と改めて感動させられる。
 大人同士も皆こうであれば、殺伐とした世の悲惨な事件などは起こらないのだろうが。
 我々が子どもから教えられる事も、たくさんこのコミュニティには転がっているような気がする。
 
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