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9月のつぶやき
「地域型スポーツクラブ」への考察2
健康日本21を意識して!
 健康日本21の目指す 「すべての国民が健やかで心豊かに生活出来る活力ある社会」 の実現は、個人の健康観により一人各々が主体的に健康づくりに取り組み、社会全体がその主体的な行動を支援していくといった個人の自由意志による自発的参画・行動変容に期待するものと捉えられます。

 健康日本21では、9つの領域70の目標設定を示して、平成22年迄の到達目標としました。その中にはスポーツと密接に関わる部分もあり、関係者の理解と実践が待たれます。
 競技スポーツ指導者や体育指導委員、健康体操普及員などが、健康またはスポーツの分野で共通の認識を持ち、地域の課題として行政施策と協働していく事も重要と言え、特化課題としての高齢者の介護予防もありますが、同時に「子どもの体力低下」や「一般成人の運動参加率の低度停滞」という点も意識して、異年齢で活動を融合させる試みや共有するという事も新しい価値の創出という上で有効と思えます。

 全国的に介護予防教室の様な事業は、今後、行政からの指導者派遣という方法から地域指導者を養成し、地域の人材を活用し、場を設置していくという地域主体型の活動へと移行すると予想されます。
 我が北区を顧みれば、小さなサークルが幾つも出来る事も想定されますが、全区的な取り組みと考えるならば「地域型スポーツクラブ」とリンクさせ、各地域の象徴的な活動拠点を求めていく方がわかりやすいと考えます。(7つの「地域型スポーツクラブ」を設置するという、北区スポーツライフビジョンとの連携が上手く図れると良い。)
 各保健センターや健康増進センターが「地域型スポーツクラブ」と連携していくという事が、地域の総体的な活動とも結び付き、地域コミュニティの再生とも相まって、極めて重要な課題とも思われます。
 
与えられるから参画するといったスタイルへの変換を意味する活動は、日頃から身近な場所で継続して行える体操やスポーツ活動の環境整備 (ハード・ソフトの両面) を、区民自らが企画し運営出来る事が何よりでありますが、そのためには行政施策の中へ、区民が主体的に取り組める活動の支援並び助成を明確に示しながら、総体的に支えるシステムを構築していく事が必要であると考えます。
体育協会と地域での連携型教室の模索について
 本年度6月から7月期にかけて、赤羽中学校体育館に於いて 「バドミントンビギナーズスクール」 を開催しました。
 この事業は、赤羽中学校体育施設を地域開放するに当たり効率的に運営する事、地域指導者と体育協会の競技指導者を併せて地域スポーツ教室事業を試行する事などを目的とし、参加公募の形式をとり、全8回を毎週水曜の夜間に受益者負担で実施しました。
 終了後、この時間帯は地域のバドミントン愛好者が集える「」として開放されています。(内容の詳細は、こちらを参照)
 今後も、11月から12月に 「卓球ビギナーズスクール」 を十条台小学校体育館で、来年の1月から3月に 「バドミントンビギナーズスクールU」 を赤羽中学体育館で、共に体育協会との連携で開催することが決まっています。

 現在、体育協会が行っている「スポーツ教室」には、地域の学校施設を利用して実施する事は皆無で、その殆どが、滝野川・桐ヶ丘の両区立体育館での開催に集中しています。地域のスポーツを振興していく事から述べるならば、こうした教室事業が地域で開かれる事が望まれるし、地域に対して指導者を派遣するなど地域を育てる試みが体育協会にあっても良いと思われます。
 学校施設を利用していると言えば、区教育委員会が実施して4年目となる 「わくわく土曜スポーツクラブ」 の事業についても、指導者側が地域の運営者を育てるといった事も無く、事業終了後の受け皿を、
誰が又はどこが担うのかもハッキリしていません。親子参加型の事業へ変換しても、競技スポーツ種目を一緒に楽しんでいくことが可能なのかは、とても難しい問題と思われます。

 過去には、区教育委員会の委嘱組織であった区体育指導委員会が、地域の学校体育施設などを利用し、初心者教室事業などを行っていましたが、区内での教室事業の見直し・体育協会との事業重複もあった事などから、体育協会主催教室に一元化されてきました。
 しかしながら、地域の学校体育施設を利用する形でのスポーツ啓発の事業は激減し、区内スポーツの底辺拡充という点では後退した感があります。加えて、画一的な従来のスポーツ教室事業は、半ば頭打ちの感が否めず、体育協会も「健康スポーツ」・「生涯スポーツ」の名の元に、健康福祉を目的とした種目へシフトしているのが現状です。ともすると、健康いきがい課が健康増進センターなどで催している事業と対象を共有してしまっている、目的や意図が鮮明で無くなってしまっている現象が起こっています。参加を希望する方が、選択することが出来る選択肢が増えている、数多く用意されている、といった利点に関して結果的には評価出来ますが、各教室ごとの連携・目標の一致に於いては、整理がされていないのが現状です。敢えて言うなら、各教室毎に勝手に開催されていると言っても過言ではないでしょう。
 本来、地域住民のニーズに沿った、近隣の「場」で自らが目指す環境への参画が今後求められていくと思います。そういった意味でも、地域と専門種目集団である体育協会とが連携を図り、様々な目的を包含し自らのライフスタイルを豊かにする、カルチャースクール的なスポーツ教室の在り方を考えていく時代になったのではないでしょうか。今後、こういった環境の主体となるべきは、「地域」であると考えます。
 
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