前のコラムへ 次のコラムへ
10月のつぶやき
 忙しさにかまけて、コラムの更新をサボってしまいました。2ヶ月ぶりの更新です。
 酷暑が続いた夏・台風の相次ぐ直撃・秋の長雨・不安を煽る様な地震・浅間山の火山活動の活性と、天変地異が近々に起きるのではと予感させられるような現象を体感しています。日本の風土と言える四季の移ろいも、余りの極端な変化に驚きを抱いてしまいます。

 地域クラブの活動も、発足から1年半を経過しました。この間、文部科学省が提唱している「総合型地域スポーツクラブ」の理念に基づいて、北区にその苗を植えることを目標に、クラブなりに色々な方法を講じてきました。そして、今後も努力していくつもりですが、その道程は決して順風満帆ではなく、様々な紆余曲折があり、想い描いたように進む場合もあれば、全く逆の方向に作用してしまうといった問題も抱えます。

 そんな中、場所の確保・人材の確保・運営資金の確保は、クラブを継続して運営していくためには必要不可欠な3要素ですが、それらを安定させていく方法を間違えてしまうと、自らの首を絞めてしまうことになりかねません。
 
「場所の確保」については、再三サイト上でも記している通り、活動拠点が公立学校施設を使用していることもあり、そこに設けられている既存の規則や権利に高いハードルを感じてしまうことも少なくありません。そこで現在、中学校の施設に施設使用・活動しているクラブ等を一括に掌握していく、管理運営委員会の設置に付いて、学校側やPTA組織と共に協働していくワークショップを開いていくよう準備をしています。現在、施設を使用している団体やクラブが一同に会し、限られた施設を有効且つ有益に継続して使用していくためのご意見を求め、互いに知恵を出し合う場の設置を学校側に求めています。旧来の使用権を念頭に置きながらも、新たな環境をフラットな状況に変えていく努力をしていかなくてはならないと思います。方法論は様々あると思いますが、この環境の構築が、現在中学校の場で問題となっている、部活動の荒廃や縮小に対する地域の受け皿となっていくことは充分に考えられる事で、多岐に亘っての利点を求め皆さんが理解を深めていただけることを期待しています。加えて、この取り組みが北区初の試みであり、行政が学校側への手を下していない現実への一石を投じられれば、他の学校施設への波及効果も大きいのではと考えています。
 
「人材の確保」については、単に種目のエキスパートを確保・要請するのではなく、大局的な見地でコミュニティ全体を見渡す器量を備えた人材の確保が必要不可欠になると思います。得てして、スポーツ環境では卓越した技量を備えている者が崇められてしまう傾向にあります。その結果、上級者を中心とした仲間が突出して集団を形成してしまうという現象は、どのスポーツ環境でも起こり得ることです。然るに、その行為が競技環境を閉鎖的にしてしまう要因になることに気が付かない場合が多いのです。真のトップアスリートは、自らがその競技のスポークスマンであることを認識していると言われています。プロ・アマの世界を問わず、底辺の飽くなき広がりを求めていかなければ、その競技の繁栄は望めないことだと思います。地域スポーツ活動においては、興味を抱いた地域住民の方々に対し、その環境がどれほどのモチベーションになるかが大切なキーポイントになるでしょう。憧れの競技者・信頼のおける指導者は、その内のツールにはなることでしょうが、それだけでは前記のような閉鎖的なピラミッド集団になり兼ねません。参加してくる皆様の要望を的確に感じ、新しい環境の必要性や現環境の不足している部分を敏感に判断し、次へのステップを描ける人材こそが必要だと思います。勿論、環境の安全面を監視する能力も必要でしょう。全体のリスクマネージメントやクラブコーディネートを、柔軟に考え行動できる人材の確保・育成が、今、求められています。繰り返しますが、これには種目のオーソリティである必要性は絶対条件ではないと考えています。
 by Gori
前のコラムへ 次のコラムへ